檸檬爆弾


2024年04月16日執筆
『檸檬爆弾』

 酒を飲んだ次の日にはツケがまわってくる。いや、酒に限らず、何事もそうかもしれない。
 私は家賃を節約する為、とある男と暮らしている。飯も作ってもらっている。昨日はその男と飲んだのだが、ああ、いや、あまりに飲みすぎた。心だけじゃなく、体の全体に、重く、ドロっとしたような物がのしかかっている。それは憂鬱で、何もさせない倦怠感と、それなのにソワソワとなってしまう焦燥を与えてくる。あの男の顔を見てみると、私と同じくツケに苦しんでいるようだった。ふと、奴はガサゴソとバッグを弄り始めた。薬でも出してくれるのかと思ったが、奴が出してきたのはたった1つの檸檬であった。
「今からこれを爆弾にします」
 その冗談に疲れながらゲラゲラと笑った。梶井基次郎の檸檬か。随分知的なジョークを言う物だ。そいつはその檸檬を鼻に当てて、息を深く吸った。落ち着いたように溜息をつく。
「俺にも頂戴」
 そういうと、奴は「ホイ」と、檸檬を手渡した。なんだか軽いそれの匂いを嗅いでみると、柑橘類特有のスッキリとした香りがした。ああ、リラックスすると言うか、落ち着く。いかり肩が垂れたように感じた。檸檬1つであんなに気分をよくしていた基次郎はどこかおかしいのではないかと思っていたが、なんとなくその気持ちが分かった気がした。カルフォニアの景色は、浮かんでこなかったが。
 するとなんだか、檸檬のヘタが少し変な所に気が付いた。ヘタを中心に丸く切られた後があり、セロハンテープでとめられている。気になってセロハンテープを爪で少しずつ剥がすと、檸檬のてっぺんの丸く切られた部分が抜けるように取れた。中には果実なんて詰まっておらず、空っぽだった。軽く檸檬を降ってみると、中から濃い緑の葉っぱがポロポロと溢れて来る。なんだこれは。
「あ! お前、何やっているんだ」
 奴は焦ったように、駆け寄ってきた。私はたまらず、彼に聞く。
「なにこれ?」
 奴は檸檬から出てきた葉っぱを見ると、困ったように、唇を噛んだり、唇を口の中に入れたりした。私の体に重ったるいドロドロの二日酔いがまた襲ってきて、むしろ焦燥感がより強くなってきた。悪い胸騒ぎに、心臓がドクドクと跳ねた様な気がする。ああ、まずい、どうしよう。
 奴はためらいながら言った。
「……元気になる……葉っぱだよ」
 終わった。ただそう思った。


コメント

無修正です。
駄作ゥ!
最後がこんなので、いいんすか?


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